相場の「本音」を聞く

ブルベアＦＸ

テクニカル・アナリシスにおけるアプローチ、いろいろ方法や視点こそ異なるが、共通しているところはやはり値動き自体の分析にある。

値動きは市場の構造を反映、ファンダメンタルズ上の材料を織り込み、そして市場関係者の判断と思惑の結果であるから、値動き自体に専念することは、正に相場の「本音」を聞くことである。

換言すれば、相場の「本音」を聞くためにテクニカル・アナリシスが存在し、またテクニカル・アナリシスこそ一番有効なアプローチだと言える。

人間の「本音」と同じく、市場における「本音」も容易く聞こえるものではない。だから異なる視点や方向をもったアプローチが重要になってくる。最近の「ブルベアＦＸ通信」の実例をもって説明しましょう。共にユーロ/ドルに関するレポートである。

2015年11月17日 18：19配信

本日のチャート　ユーロ/ドル　両シグナルの区別

ユーロ/ドル　日足

ユーロ/ドルは安値更新している。既述のように、当面下値リスクを警戒、安易な底打ちを想定しないほうが無難かと思います。その証明として、ＰＡ（プライスアクション）の視点からも裏付けを取れる。チャートに記しているように、ユーロ/ドルの下落トレンド、途中にて主なシグナル（ＰＡ）が二つがあって、一つは「インサイド」（はらみ）、その下放れをもって下落加速が確認され、トレンドに沿ったシグナルとして有効であった。もうひとつは「フェイセットアップ」だった。12日の切り返し、本来更なる反騰余地を拓くシグナルであったが、翌日陰線や「インサイド」を経て週明けから撃沈、同シグナルの失効を示した。この場合、トレンドに逆のシグナルが失効すること自体がシグナルとなり、ユーロ/ドルのベアトレンドを証明したものと見る。両シグナルの区別が鮮明であるため、ユーロの下値余地が更に拓ける公算が高いと見る。

2015年11月18日 20：27配信

本日のチャート　　ユーロ/ドル　　最終子波の構造

ユーロ/ドル　時間足

ユーロ/ドルは記述の通り、10月高値1.1495から大型下落推進波を展開してきた。この場合、11月12日高値1.0830から最終子波に入り、これから下値余地を拓くでしょう。もっとも、本日一旦切返し、1.0692の打診をもって最終子波の内部構造を露呈。チャート上表示しているように、ザラ場高値までの切り返し、子波iv(黄）と見做した場合、子波i(黄）と重ね、通常のカウントルールに抵触してしまう。しかし、同値動きだからこそ最終子波の構造を示し、目先リバウンドがすでに頭打ちしたか、これから頭打ちになってくるでしょう。メインレジスタンスゾーンに到達した上、最終子波自体の内部構造、下落ウェッジ型に近いフォーメーションを示し、子波の重ねをもたらしたわけだ。この場合、往々にして最終子波の位置付けを強化するサインとして見做され、これからもベアトレンドを継続するでしょう。下値ターゲットについて、二つ計算がある。まず、上序列（緑大文字）の最初波と同じ値幅と見る場合、≒1.0640の計算値が得られ、すでに達成した上、前記最終子波の構造に鑑み、これをもって下値打診完了の可能性が小さいため、第4子波（緑大文字）の1.618倍計算の1.0580が浮上する。今回再度頭打ちが確認された場合、一旦1.06割れが射程圏にはいる。故に、ストラテジーのターゲット、1.0580～1.0620に上方修正しておきたい。

以上のように、アプローチの視点が異なったものの、辿るところが同じだから、より相場の「本音」に近い結論が得られたわけだ。言い換えれば、相場の「本音」は異なるアプローチをもって探るべきで、また結論が整合性を持たなければならない。

因みに、トレンドがはっきりした場合でも、レバレッジが効くＦＸ取引ではやはり精密なターゲットの計算やタイミング測りが求まれる。日本時間19日朝4時ごろ、ユーロ/ドルが1.0616の安値を一旦トライしたものの、その後リバウンド、19日1.0763まで反騰したから、18日レポートが提示したターゲットの上方修正は適切だったと思う。