Brixit後の相場
英EU離脱を受け、金曜(24日)世界金融市場が大揺れした。日経平均の急落、世界主要国においてワーストNo1になったことも別にサプライズではなかった、何しろ円の急伸、特に対ポンドの急伸が凄まじかったからだ。いつものように、日本株が衝撃に一番弱く、円がリスク回避先として「過剰」に反応しがちで、今回も然りだ。
これからの相場、はっきり申し上げられるところがあれば、それは誰も正確に予想できないこと、この一点である。なぜなら、変動要素が多すぎるからだ。EU圏の問題で2008年リーマンショック時の性質と違うといった論点もあるが、賛成できないところがある。要するに、英EU離脱自体よりもその連鎖反応のほうが怖いわけだ。
ひとつはEU全体の存続が疑問視され、リスクオフの流れが地政学の次元に発展する恐れがある。この場合、ポンド建て、ユーロ建ての株式はもちろん、債券マーケットの崩壊もあり得る。根本的なところ、流動性がなくなるリスクが大きいから、EU発の景気後退、深刻化されていく可能性がある。実際、ドイツ銀行がすでに破産寸前と言われ、EU全域銀行株の暴落がその危険性を暗示していると思われる。
次は昨年から所謂チャイナリスクが警戒されてきた。ロンドンは人民元国際化の先陣として布局されてきただけに、EUの離脱が中国にとっても大きな打撃だ。英国をかけ橋とし、EUに投資する中国企業が多かっただけに、今回のEU離脱、このままチャイナリスクを増大させる一因としても無視できない。EUの混乱に中国を加えれば、米も独善的になれない。ウォール街は早くも7月FRB利下げが噂される。
となると、円が引き続き買われやすく、また日本株も更なる下落の余地を拓くでしょう。2008年リーマンショックより今回円高が「行き過ぎ」だといったテクニカル的な視点を無視できないが、確信を持てない。EUの混乱にしても、中国のクラッシュにしても、これからであれば、警戒しておいたほうが無難だ。
肝心のポンド、メリルリンチさんの指摘では、第2四半期の終値が1.4以下に沈む場合、今後数年ポンドが売られる運命にあるという。現在のレートを鑑み、むしろ1.4以上にキープするのが難しいかと思われる。従って、ポンド/円において、早ければ年内でも史上最安値(つまり対ポンド、円が史上最高値)を記録する、といった可能性を念頭におきたい。ちなみに、ポンド/円の史上最安値は2011年9月の116.76である。英国旅行でもいかがでしょうか、奥様。
陳満咲杜
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